北斎のまく笑いの種
「北斎のまく笑いの種」という今回の展示に興味が湧いてすみだ北斎美術館へ行ってきました。
今回の主な展示は江戸時代の狂歌や滑稽本、落語など、庶民でも楽しめる文化が花開いた時代、人々に「笑い」をもたらす「笑いの種」が増え、北斎や門人たちが笑顔や照れ笑い、怪しげな笑いにいたるまで、世間にあふれる多様な笑いの表情や仕草、笑いが生まれる状況を捉えて描いた様々な笑いを表現した絵が展示されていました。「笑」という字の成り立ちには、竹が風を受けるとしなやかに曲がる姿が、体を曲げて笑っているように見えることに由来するという説があり、「笑」という字がつく言葉にはポジティブな意味のみならず、ネガティブな意味のものもあり数多くの言葉が存在するという解説で4つの言葉が紹介されていました。はっとさせられる気持ちになり、とてもいい勉強になりました。北斎の笑いを誘う謎かけ戯画集は面白かったです。自分には謎かけは難しかったですが、どの作品も人物の表情や身体の動きが鋭い観察力だなと思うものばかりで、特に「湯屋の桶とかけてと解く心ハ明を尋る」という作品が湯屋では桶が空くのを待ち、年男は年明けを心待ちにするという謎かけを題材にした図で空いた桶をみつけて嬉しそうな男性が描かれていて、裸というのもあるかもしれませんが三人の男性のしぐさや身体の筋肉や筋など現代の漫画家さんと劣らない絵にすごいなと思いました。今までみたことがなかった北斎の絵が見れてよかったです。ご存知の方も多いと思いますが美術館を設計したのは著名な建築家、妹島和世さんです。変わった美術館の外観と館内を見ながらの北斎の作品をみるのもとてもいいです。会期は11月26日日曜日までやっています。興味がありましたら是非。
スタイリスト山邉