国芳の団扇絵  猫と歌舞伎とチャキチャキ娘

世界で初めて歌川国芳の団扇絵だけの作品展を開催しているということで太田記念美術館へ行ってきました。

団扇は江戸っ子にとって夏の暑さをしのぐための必需品で、同時にデザインを楽しむお洒落であり、また歌舞伎ファンにとっては贔屓の役者を身近に感じることができる大事なグッズでもあったとのこと。今まで国芳の浮世絵を見てきましたが団扇絵を積極的に手かげた浮世絵師の一人だったことは知りませんでした。600点を超える現存作品があり、今回は約100点の初紹介作品を含む220点を前期と後期とわけて展示しているとのこと。国芳といったら猫で有名ですが、戯画シリーズでは猫だけでなく他の動物やこまや化粧道具の鏡やかんざしなどが擬人化したものや強引なダジャレのシリーズは北斎とはまた違う面白みのある作品でした。ポスターの表紙になっている「猫と遊ぶ娘」は初版初摺だそうで色がとても綺麗で見入ってしまいました。歌舞伎役者や美人画では着物や置いてある花瓶にも細かい模様があり、それを描いた国芳もすごいなと思いましたが彫り師さん達の巧みな技術にも舌を巻いてしまいました。団扇は表と裏側に違う絵を描いているものもありますが、裏絵は国芳の長女芳鳥が描いていた団扇絵もありました。調べてみると「艶曲揃」シリーズの裏絵を描いていたようで、現物を見てみたかったなと思いました。浮世絵もそうですが消耗品であった団扇絵もこんなに良い状態の物があるのも驚きました。初紹介のものもあり見れてよかったです。前期は6月25日火曜日まで、後期は6月29日土曜日から7月28日日曜日までです。興味がありましたら是非。

スタイリスト山邉