広重おじさん図譜

去年からポスターやTwitterの宣伝で楽しみにしていた太田記念美術館で開催されている「広重 おじさん図譜」を見に行ってきました。

歌川広重の作品と葛飾北斎、歌川国芳などの浮世絵の中で人々の表情も面白いと集められた展示です。保永堂版「東海道五拾三次之内」を始めとした代表作から旅するおじさん、無垢な笑顔のおじさん、仕事をがんばるおじさん、グルメを楽しむおじさん、ピンチであわてるおじさんなど、広重の描くおじさんたちは思わずワハハと声を出して笑ってしまう愛嬌あるおじさんたちでした。しかし浮世絵を守るとはいえ暗い照明でおじさんたちの顔を見るのはなかなか大変でガラスに当たってしまうほど近づいてみてしまいました。普段展示されることの少ないレアな作品という事もあって、広重だけでなく、葛飾北斎の絵師の絵手本で描いたと言われる北斎漫画から歌川国芳、渓斎英泉(けいさいえいせん)や小林清親など、さまざまな絵師が描いたおじさんたちが紹介されていて広重と個性の違いを見比べながら楽しむことができました。一番好きな作品は歌川広重 東海道五拾三次之内 御油(ごゆ)旅人留女(たびびととめおんな)

旅籠屋の(はたごや)の客引きである「留女」(とめおんな)と呼ばれる女性たちが、旅人を無理やり宿に連れ込もうとしているところです。中央の男性は背中に背負った風呂敷包みを引っ張られて、苦しそうな表情のおじさん。そんなおじさんと対照的な無表情のおばさんのやりとりが面白くて何回も見てしまいました。ここ東海道の御油宿では留女が多く、このような光景がよくみられたようです。浮世絵の女性たちは気が強そうな感じの方が多いと感じていたので無表情でも愛嬌のある恰幅の良い女性はなんだかホッとして心が温まりました。会期は前期と後期に分かれていて前期は2月26日まで、後期は3月3日から3月26日までです。後期に展示されるようですが自分の故郷の地域にある千曲川の絵に描いてあるおじさんが楽しみです。興味がありましたら是非行ってみてください。

スタイリスト山邉