没後190年 木米

自分のInstagramに「没後190年 木米」の広告が流れてきて、掲載されていた絵にとても興味が湧きその絵を見にサントリー美術館へ行ってきました。

木米を知らず行き、江戸時代後期の京都を代表とする陶工にして画家でもあり文人でもあることを知りました。木米は30代で中国の陶磁専門書「陶説」に出会い本格的に陶業に打ち込み、煎茶器から茶陶と多岐に渡りますが中国や朝鮮、日本の熱心な古陶磁研究を土台に広い視野を持ち、古今東西の古陶磁美の因習を越えて新しい美を創り出した個性ある陶器達は大胆な物から繊細な物まで見ていて自由や楽しさが感じられ面白かったです。今、お茶にはまっていることもあり急須や茶碗を興味深く見ていたら、「涼炉」という湯を沸かす小さい焜炉が出てきて、この時代急須を置いてお茶を淹れていたというのが驚きでした。

興味を持ったこの絵は木米の友人である田能村竹田が木米を描いた絵でした。木米が生きた時代の日本における「文人」とは、中国の文人の詩書画三絶の世界に憧れをもち、中国の学問や芸術の素養を身に付けた人々のことだったそうです。彼らは独自の文人ネットワークを構築して活発に交流し、お互いの個性を尊重しながら思い思いに文人としての生き方を追求したとのこと。木米が50代後半から精力的に描いた絵画は友人への贈り物とした山水図で手紙のような言葉も書かれていて交友関係や木米の人柄が伝わってくるものばかりでした。絵や陶器もそうですが好きな色の藍色をよく使われていてそれがとても印象的でした。以前紹介した「広重おじさん図譜」と今回の「没後190年 木米」は相互割引をしていて、それぞれのチケット提示で当日入館料が割引になるとのことです。会期は3月26日日曜日まで。興味がありましたら是非。

スタイリスト山邉

追記

以前行ってきた「広重 おじさん図譜」後期を見て来ました。楽しみにしていた「木曽海道六拾九次之内 塩なた」のおじさんを堪能しましたが、更に面白い絵図がありました。「相州江之嶋岩屋之図」江ノ島を描いた絵図ですが、かなり海の波の高いのに子連れの家族や宴会をしている人達がいてなんかあべこべな感じに思わず吹き出してしまいました。広重は「東海道五十三次」で雪が降らない場所でも雪のアレンジをして描いたりしています。これは風景画で想いがあってとのことですが、今回歌川広重の描くおじさんたちを見てきて北斎や他の浮世絵師たちとは違って人の表情は簡単な感じでも様々な感情が伝わってきて、改めて歌川広重の魅力を知ることが出来ました。こちらも興味がありましたら是非。