生誕140年特別展アトリエの朝倉文夫

お客様に猫が好きだと話していたら、彫刻家の朝倉文夫さんも猫好きで有名で猫の彫刻があると教えていただき、調べてみたら丁度「生誕140年特別展 アトリエの朝倉文夫展」が開催されているとのこと。日暮里の谷中にある朝倉彫塑館へ行ってきました。

朝倉彫塑館は朝倉文夫さんの住居とアトリエだった場所を今は美術館として建物を公開し、彫刻品をはじめとする美術品展示を行っていて、入ると外国のような建物の外観からは想像しなかったこだわりが詰まった空間に驚きました。朝倉さんが自ら設計、監督をつとめた建物の中は、材料の持ち味を生かした独特の空間が構築されていて、池がその面積のほとんどを占める中庭も素晴らしくて水を愛する朝倉さんがさまざまな水の表情を楽しめるように工夫して作庭されているとのこと。晴天の本日、日差しも良く色んな部屋から見た中庭は本当に素晴らしかったです。

ところどころに猫の彫刻があり朝倉さんは本当に猫好きだったようで多い時には10匹以上の猫を飼っていて、身のこなしや飼われながらも野性味を失わない神秘性に魅力を感じ、自らの作品にも幾度も取り上げたそうです。ブロンズなのに本当に生き生きとしていて、浮世絵の国芳と同じく本当に猫が好きだったんだなと伝わってきました。

中庭も素晴らしかったのですが、屋上庭園も素晴らしく、オリーブの大木や花々に菜園があり、屋上庭園は、昭和初期の鉄筋コンクリート建築における屋上緑化の事例として貴重だと評価されていて、朝倉さんが「朝倉彫塑塾」という専門学校を開校していた当時、必須科目に「園芸」を設け、屋上を実習場にして「植物は土により命を育む、彫刻もまた土によって命が吹き込まれる」という考えを伝えていたそうです。

また天気良い日に中庭を座敷に座って眺めたり、心地よい光が入る部屋や屋上で心地よい空間を感じたいなと思いました。会期は5月28日日曜日までです。興味がありましたら是非。

スタイリスト山邉