葛飾応為「吉原格子先之図」ー肉筆画の魅力

まさか葛飾応為の作品が見れる日が来るとは期待を膨らませて太田記念美術館へ「葛飾応為「吉原格子先之図」ー肉筆画の魅力展」を見に行ってきました。

葛飾北斎の娘、葛飾応為と今回の作品を知ったのは昔クレイジージャーニーというテレビ番組で学生時代から葛飾北斎に取りつかれて、それ以後1500冊に及ぶ”北斎漫画”を世界中で収集活動している浦上満さんの放送回でした。まさか良く展示を見に通っていた太田記念美術館が所蔵していたとは。遊廓である吉原の光と闇を美しく描いた葛飾応為の名品である「吉原格子先之図」は約3年半ぶりの出品とのこと。テレビでは大きく見えていたので意外と作品自体が小さいことに驚きました。でも本物を実際見ると凄さが感じられ光と闇の美しさに感動しました。「吉原格子先之図」のなかには落款がなく、絵の中に自分の名前が隠されていて絵自体が小さいため文字を肉眼で見るのは大変でした。葛飾応為を調べてみると葛飾北斎との親子関係が面白く、美術館でも紹介されていましたが葛飾応為(本名 栄)は顎が少し出ていたらしく父である北斎から「アゴ」と呼ばれていて、約20年間孝行してきた娘をそんな呼び方してなんて思いましたが、応為は北斎に性格が似ていたといわれていて唯一違ったのが酒と煙草を嗜んでいたらしく北斎の描いていた絵の上に吸っていた煙管から煙草の火種を落としたことがあり、これを大変後悔して一旦禁煙したもののしばらくしてまた元に戻ってしまったということがあったり、北斎は「美人画にかけては応為には敵わない。彼女は妙々と描き、よく画法に適っている」と語って応為の才能を認めていたり、揶揄や嫉妬もあったかもですが、愛情からかそう呼んでいたのかなと自分は思いました。応為が描いたとされる肉筆画は10点しか確認されておらず版画にいたっては2点しかないそうですが、北斎の作品の中には応為が代筆していたのではないかという作品が多くあるそうです。自分も研究が進んでやはり応為が描いていた作品がどの作品だったのか判明してほしいなと思いました。歌川国芳の2人の娘も描いていたそうですが、現存している作品は少なく時代も時代ですので仕方ないのかもしれないですが女性も活躍して芸術に華やいだ江戸時代があったらどうだったんだろうと思いました。応為以外太田記念美術館所蔵の肉筆画コレクションのなかに歌川広重の肉筆画があり、まじまじ見てみるとやはり広重だなぁと何となくわかるまで広重の浮世絵を見続けてきたんだなと感慨深いものがありました。美人画は自分の好みに分かれるなと今回の展示で良くわかりました。会期は11月26日日曜日までやっています。興味がありましたら是非。

スタイリスト山邉